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【コラム】データ資産の価値とは(後編)

前回は物の価値や尺度から、データの資産について話しました。
前回の記事はこちらから
後編の今回は、価値を見出したデータを「データ資産」として捉えるための方法について話していきます。
 

データの価値を考える

データに対して価値を見出すとしても、重さや大きさといった従来の価値を表す尺度だと、データの価値は測りきれないのです。
では、どうしたらいいでしょうか?
 

「生産者」を「Webデザイナー」、「商品」が「データ納品物」、「お客様」が「クライアント」として、例を挙げてみます。
 
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一度納品した納品物を、人知れず修正する事はありえません。修正したら、修正の旨をお客様に伝え再度納品する事になるはずです。
もし納品物が世に出回れば、例えお客様に修正の旨を伝えても、差替えは簡単にはできません。
納品した瞬間、世に出回った瞬間、Webデザイナーの作品が商品となるのです。
そして、そのデータにはお互い(Webデザイナーとお客様、お客様と世間一般)に共通する価値が生まれるのです。

 

image_fwnews013_05納品された瞬間、公開された瞬間、納品物が商品となり価値が生まれます

 
 

データの資産としての捉え方

データを資産として捉えるには、以下のことを確認することで、そのデータを資産として捉えることができます。

  • そのデータ自体やデータの存在、概要などデータに関する事柄が存在しているか
  • そのデータ自体が共有されるために存在しているか

これが単なるデータの集合体から、データを資産と見る大きな節目となります。
いくつか例をあげてみましょう。

データ納品物

前述したWebデザインのデータ納品物などが対象になります。
制作前に交わした発注・受注により、納品するデータには価値が生まれ、納品先と共有されます。
そして納品先から対価が払われるため、そのデータは資産に該当します。

メール

送り先と自分(送信元)が常に存在するのでデータ資産です…とは言い切れません。
メールは相手から受信しただけ、自分から送信しただけでは単なるデータのままです。
送受信した複数のメールがデータ資産に該当します。
また、受信した人の行動によっては、1通だけでも価値が生まれる場合もあります。
受信した人が欲しかった商品のDMだったり、コンサートチケットの予約番号が書かれたメールなどがそれに該当します。

社員が作成した顧客向けの提案書

顧客に提出した時点では、その提案書はデータ資産とは言えません。
その提案書をお客様が気に入り、提案書に記載される商品を購入した時、その提案書に価値が生まれます。
その段階でデータ資産となります。

社内グループウェア(常時内容や情報更新が発生)

グループウェアで保存すべきデータは、社員が日常利用しているので、個々のデータは流動的で断片的です。
しかし、このデータを社員同士が随時更新し共有しあう事で、このデータ群は価値が見出されます。
そのため、保管対象のデータが曖昧ですが、社内グループウェアもデータ資産に該当します。

データ資産とは、ファイル単位で表さず、経緯や履歴、様々な要因を経て共有される価値が発生したデータのことを指します。

 
 

データを資産として取り扱う重要性

資産をよく「人」「物」「金」、最近だと「箱」や「時」なんて言い方をします。
中でも働き手である「人」が収益を生み出す原動力であり、企業にとって大事な要素である事は、今も昔も変わりません。

その「人」が日々の企業活動の中でデータを大量に生み出し、蓄積させています。
では、どれくらいデータが生み出されているのでしょうか?

 

日常、企業活動でパソコンを使わない仕事があるでしょうか。

程度は違えども、個人商店、農業、製造業でも管理や報告にパソコンやタブレットを利用して業務を進めていると思います。

現在、企業活動を行っている中小規模以上の企業は、特にパソコンなどIT機器が無ければビジネスが成り立ちません。
おそらく、社員数以上のパソコンが導入されている企業も多いのではないでしょうか。

 

極端な例をもとに説明します。
社員5名と5台のパソコンがあり、毎日1億円の売り上げがあるサポート業務を行う会社があるとします。
この会社は、社員5名が始業から終業までパソコンの前でお客様とのやり取りからサポートの記録・報告まで、様々なサポート業務を受注し売り上げを立てている企業です。

 

もしパソコンが無ければ、この業務の作業量は何倍にも膨れ上がる事は容易に想定できます。

そこで売上1億円の根拠を、社員5名と5台のパソコンと考えます。

するとこの企業にとって、売上1億円の一人あたりの生産額は2,000万円となりますが、パソコンがある場合と無い場合での作業量の違いを2倍と想定すると、パソコンが売り上げる生産額は2,000万円中の1,000万円となります。
 
では、この企業が生み出すデータの資産価値を金銭で表すと、
1,000万円(パソコンが売り上げる生産額)× パソコン5台 = 5,000万円(売上1億円の半分)となり、日々生み出されるデータ資産の金銭価値は5,000万円となります。

 

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さて、この会社には、5,000万円分のデータ資産があると試算しましたが、どれとどれがデータ資産に該当するのでしょうか?
これが現代の企業にとって新しい価値基準のひとつなのかもしれません。

 

データをしっかり管理運用する事が、今後、企業にとって重要になります。
そして、価値があるはずのデータに気が付かずにビジネスチャンスを取りこぼす様な事態や、間違ったデータ、不要なデータ、複製され続けたデータなどから発生するリスクを事前に回避する企業運営が、求められます。

下記の計算式は、私がデータ資産を維持する為に必要な費用を算出する際に使用している計算式です。このほかにも算出方法はあるのですが、一つの目安として使用しています。

 

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会社全体にこの計算式を当てはめれば、適正な費用算出をする事が可能です。
また、大きな事業部などでは、事業部の所属人員数と人件費から最大投資額を算出し、「直接生産部門数」を「従業員数」、「総部門数」を「管理職数」で表す事で、データ資産を管理・維持する費用の算出ができます。

 
 

データ資産が企業価値を表す基準の1つになる時代が来る

ここまで企業にとってデータ資産の考え方や重要性を書いてきました。
今回の話は、昔から変わらず行われてきた企業活動のひとつの形が増えた程度の話だと、私は考えています。
しかし、データ資産と言う尺度の見えない価値観を共有するには、尺度や方法論が確立していません。
 
それでも、近い将来必ずデータを資産とする時代が来ると確信しています。
実際に、データを資産として扱う事が日々起こっているからです。
その時代が来た時、企業価値を表す指標にデータ資産が加わり、企業が持つ本来のパフォーマンスを正確に表す必要が出てくるはずです。
 
ぜひ、あなたの企業にとってのデータ資産を考えてみてください。
データの中に次に打つべきビジネスチャンスが埋もれているかもしれませんよ。